今から始まったことではないですが、円安などによる原材料費高騰が、2021年以降に特に顕著となっており、特に2024年に入ってから加速していきました。
それだけでなく、かつては世界シェアトップを占めたルネサスのSuperHプロセッサをベースとしたボードコンピュータの部材も軒並み市場から消えようとしています。
コンピュータの場合は、膨大な過去のソフト資産や動作実績もあるため、なかなかSuperHからARMへの移行に踏ん切りがつかないケースも見受けられます。
そのため、SuperHから移行できない場合、法外な価格で部材を購入せざる得ないケースも出てきます。
当方の事業部で直販している主力製品は、SH7086LANUSBボードで2005年より販売しており、なんと、2005年より長期継続販売しているのみならず、価格もなんと2005年より据え置いています。
当方の事業は営利事業ではなく基金による公益事業であり、金儲けでやっていないため、SH7084LANUSBボードの原価については長年放置状態でした。
そうとはいっても特に2024年より加速した原材料費高騰、人件費上昇など実装費用上昇が深刻になったので、SH7084LANUSBボードの原価を再点検しました。
現状、SH7084LANUSBボードの販売動向は年に60枚程度のため、60枚での製造原価と参考のため500枚での製造原価を算出してみました。
まず、小物のセラミックコンデンサをすべて総計した原価は、
60個単位単価 366円
500個単位単価 277円
続いて、小物のチップ抵抗をすべて総計した原価は、
60個単位単価 102円
500個単位単価 54円
ダイオードアレイの原価は、
60個単位単価 14円
500個単位単価 6円
MOSFETの原価は、
60個単位単価 50円
500個単位単価 28円
リセットICの原価は、
60個単位単価 76円
500個単位単価 57円
3.3V出力電源ICの原価は、
60個単位単価 99円
500個単位単価 99円
MACアドレス格納用EEPROMの原価は、
60個単位単価 31円
500個単位単価 27円
EMIフィルタ2個分の原価は、
60個単位単価 20円
500個単位単価 12円
LED2個分の原価は、
60個単位単価 62円
500個単位単価 27円
リセット用スイッチの原価は、
60個単位単価 30円
500個単位単価 23円
水晶発振子3種3個分の原価は、
60個単位単価 131円
500個単位単価 112円
RS232Cトランシーバの原価は、
60個単位単価 153円
500個単位単価 104円
これからが大物の主要部品になりますが、まずは、SH7084プロセッサ
60個単位単価 2500円
500個単位単価 1700円
ネットワークコントローラ AX88796BLF が一般市場から姿を消しているが、海外の市場をくまなく調べて、とりあえず最安値は 7.53ドル で、決済手数料、為替手数料、海外航空送料、通関手数料、関税、国内輸送料など費用が1回の購入にかかるため、それら込みの原価は、
60個単位単価 1424円
500個単位単価 1204円
USBコントローラ SL811HSTはもっと深刻で一般市場から完全に姿を消しているが、海外の市場をくまなく調べて、とりあえず最安値は 20.92ドル で、決済手数料、為替手数料、海外航空送料、通関手数料、関税、国内輸送料など費用が1回の購入にかかるため、それら込みの原価は、
60個単位単価 3513円
500個単位単価 3293円
次に基板製造の場合、SH7084ボードのサイズは81x55mmとなりますが、実装時に基板の長面に10mm幅の捨て基板が両端に必要となり、そのため、81x75mmサイズにVカット2本、仕上げは金メッキフラッシュの製造となります。
P版comでも自動見積もりの結果は、
60枚単位単価 912円
500枚単位単価 324円
部品実装の場合、明確な見積もり基準がないですが、これまでの実績などから、
実装1回あたりのセットアップ手数料 約150,000円、枚数単価 約1000円から算出して
60枚単位単価 3500円
500枚単位単価 1300円
これらの合計したSH7084LANUSBボードの税抜き原価は以下のとおり
60枚単位単価 13,283円
500枚単位単価 8,883円
現状、12枚からのSH7084LANUSBボードの販売価格は、6300円ですので、現状、原価の半値で販売していることになります。
これを普通の営利企業がやったら、破産・倒産一直線です。
当方は営利企業でないとはいえ、何らかの見直しが必要かもしれません。