2024年4月29日の日中に予告なしに国内零細製造業向けの補助金が発動されました。

これまでの産業界向け国等からの補助金は、特に零細企業にとっては非常に使い勝手が悪く、大量の役所特有の難解な申請書、度重なる差し戻し、非常に低い採択率、採択後に承認される補助額の低さなど非常に悪評が高いものです。

ただし、あくまで経営が苦しい零細企業だけの話であって、経営が絶好調な企業、経営環境が恵まれている中堅・大企業や旧帝大系の著名な教授の研究室にとっては、国等の補助金は、非常に使い勝手が良く、金額も大きく、かつ、事実上出来レースの審査という非常に素晴らしい補助金です。

政府サイドからすれば、補助金を出すからには、それなりの政策効果が求められるわけであるので、当然のことながら、規模が大きい企業や絶好調の企業に補助金を出して、政府としての実績を積み上げたいわけです。

政府サイドの本音では、経営が苦しい零細企業などは相手にしたくないわけで、あくまでポーズとして使い勝手が悪い補助金ラインナップを揃えて、全力でやっています感を演出しているわけです。

話が大きくそれましたが、その補助金は何かというと、財務省の大規模な為替介入であるわけです。(ただし、財務省はノーコメント)

本来は非常に貴重な貴重な虎の子の政府系保有のドル外貨をとうとう大量に放出したわけです。

この補助金は非常に良くできたものであり、本当に必要としている企業で適正な額の補助金でないと効果がないという性質を持ちます。

これまでの補助金は、対象となる企業がきちんとしたビジネスを展開し、補助金が適正に執行されるかを厳しくチェックするために、大量の難解な申請書類が必要なわけなのです。

ところが、今回の補助金は、非常に巧みな仕組みであり、まず、きちんとビジネスを展開していないと補助金として機能せず、また、ビジネスの実情に合致した金額でないと、これまた補助金として最適に機能しないということです。

従って、今回の補助金は、申請書類は不要で、補助金額の制限もないわけです。

国内の零細な電機・電子企業などは、原材料費となる部品は、ほぼ海外からの輸入となるわけです。
Digikey、Mouser、AVNETなどは決済は日本円でも実際の価格はドルベースとなり、チップワンストップやコアスタッフなども国内での決済ですが、実際の価格はドルベースであるわけです。
また、プリント基板製造も国内メーカが窓口でも実際はドル決済の中国企業での製造であり、やはり、ドルベースであるわけです。
そうなると円安になるほど採算が苦しくなるわけです。

現状のラインで採算がとれている事業ならば、それらの事業で数年先まで購入するであろう概算額のドルを購入することが補助金であるわけです。
この補助金は、円安による原材料費高騰を無制限に補填してくれるという素晴らしい補助金であり、たとえ、1ドル200円を突破しようと300円を突破しようと円安によるコストアップ分を為替に関係なく補填してくれるわけです。
今回の為替介入のドルは、非常に貴重な貴重な虎の子の政府系保有のドル外貨が原資なわけです。

実際にビジネスになっていない場合のドル買いは単なる無謀なFXになりますので、その場合、補助金として機能しないわけで、もし、円高に振れた場合での大量のドル買いは、大きな為替差損を引き起こすわけです。

ただし、実際の事業で数年先まで購入するであろう概算額のドル買いであるならば、たとえ、為替差損があっても、実際の事業でのドルベースの原材料購入時のコストが為替差損分だけ下がり、トータルで得失がゼロになるわけです。

ですから、実際の事業規模以上のドル買いは、仮に円高になった場合に為替差損になるわけなので、事業に見合った額のドル買いでないと補助金として機能しないわけです。