結論としては、技術進歩を実現したことによりありがた迷惑なケースもあり、その場合、技術進歩を受け入れの可否を選択できれば全く問題ないですが、選択の余地がない場合は非常に困ったことになります。
通常、技術進歩を一斉にシフトする場合、デメリットもあるが、それを上回るメリットがあるケースとなります。
しかし、なかには、そんなにメリットはなく、どう見てもデメリットしかないようなケースでも、強制的に技術進歩を受け入れざる得ない場合があり、どうみても元に戻せない場合は、現実を直視して諦めるしかないです。
最近の具体的なケースとしては、北陸新幹線の敦賀延伸があげられます。
本来ならば、基本的に新幹線が延伸されることは、地元民からみて、非常に歓迎されるべきことであり、これまではほとんどのケースで歓迎すべきことでありました。
電車の最高速度が130kmから260kmに一気向上し、鉄道にとって劇的な技術進歩でもあります。
しかし、北陸新幹線の敦賀延伸は、延伸された沿線にとって、たいしたメリットはなく、デメリットばかりが目立つ状態で、これこそありがた迷惑であるわけです。
もちろん、新大阪まで延伸されれば、主要なデメリットは解消されるわけですが、既に北陸新幹線の損大阪延伸は不可能になってしまい、北陸新幹線の終点は敦賀で永遠に固定されてしまいました。
これまで、金沢から京都方面に行くには特急で一本で良く、そのなかでも福井にしか停車しない便では2時間程度で京都に直接行けたわけで、特に新幹線の必要性はなかったわけです。
それが、敦賀駅での面倒な乗り換えのみならず、運賃も上がったわけですし、乗り換えの特急も全席指定で不便になりました。
それだけではなく、北陸内のローカルな移動の場合も、並行在来線切り離しでJRからIRやハピラインに切り替わって、ローカル移動の運賃も上がったわけです。
金沢から小松間のような短い移動では関係ないですが、石川県から福井県への移動で在来線を使う場合、途中駅でサンダーバードとしらさぎの特急2本の長時間通過待ちが解消されたことがメリットでしょうか。
富裕層には無縁かもしれないですが、JR全線乗り放題の18きっぷが石川県から関西地区への移動において、在来線で使えなくなったのが個人的なデメリットでしょうか。
個人的には、北陸新幹線の敦賀延伸により、これまで小松市の中心市街地空洞化が進行しシャッタ街と化したアーケード街の活性化を期待しましたが、新幹線の小松駅停車後もアーケード街はシャッタのままでした。
シャッタ街のなかでもカレーの市民アルバと菓子屋の御朱印くらいは元気なのは救いでしょうか。
ただし、郊外にある超巨大なイオンモール新小松は、新幹線と関係なく、以前より活況を呈しているので、小松市として問題ないのでしょうか。
また、自分とは直接に関係はないですが、震災で被害にあった能登地方にある七尾線沿線は、震災がなくとも、特に悲惨なことになりました。
七尾線沿線から関西地区へ鉄道へ移動するには、金沢駅と敦賀駅の2箇所での乗り換えが発生するのみならず、運賃の大幅値上げ、北陸新幹線と七尾線特急の乗り換えダイヤのミスマッチによる実質的な移動時間が増えたことなど悲惨なことになってしまいました。
そのような悲惨な能登地方ですが、そのなかでも、全国的な知名度を誇って全国的なブランドを確立した和倉温泉がさらに悲惨なことになっており、能登半島の震災で深刻な被害を受けて、現在、復興に向けているところですが、交通の面で北陸新幹線の敦賀延伸で大打撃を受けました。
これまでは、大阪や京都から和倉温泉へは特急が直通しており、金沢駅乗り換えも含むとそれなりの本数がありましたが、2回乗り換えプラス運賃値上げプラス所要時間増になりました。
もっとも、新幹線つるぎ号と特急能登かがり火の接続は改善可能ですから、今後、所要時間短縮だけは改善の余地はあります。
ビジネスや帰省などそれなりの強めの移動目的であれば、2回乗り換えも乗り越えられるかもしれませんが、温泉観光目的のような弱めの動機ならば、関西地区から和倉温泉を選択することが減りかねません。
また、大きな恩恵を受けているとされている福井県ですが、鯖江駅と武生駅は広域に移動できる特急がなくなり、大幅に不便になってしまいました。
せめて、福井鉄道が武生から新幹線駅まで延伸をすれば良さそうですが、福井鉄道も赤字でもがいているようなので無理と思われます。
特に空洞化が深刻な武生中心市街地などは衰退に拍車がかかりそうですが、それでも、武生駅前にはアルプラザ平和堂というショッピングモールがあることが救いでしょうか。
今更、北陸新幹線を取り壊しもできなくて、JR西日本がすでに北陸本線を破棄してしまったわけで、このようなデメリットしかないようなありがた迷惑な技術進歩を受け入れるしかないわけです。