主要部品の選定
電源コントローラの選定
AC-DCコンバータに採用する電源コントローラは、概ね9W級以下であれば、定格電圧が1000Vと高い FSR4110LRN が候補となります。

定格電圧が1000Vであれば、AC100Vだけでなく、AC220VやAC440V入力でも扱えるため、このコントローラを使えるようになれば、入力電圧範囲が広がります。
コントローラのデータシートは、Onsemi製 FSR4110LRN で参照できます。
2026年11月現在、ロチェスターエレクトロニクス で入手が可能となっています。
FSL4110LRNの特徴は以下のとおりです。
- Built-in Avalanche Rugged 1000 V SenseFET
- Precise Fixed Operating Frequency: 50 kHz
- VCC can be supplied from either bias-winding or self-biasing.
- Soft Burst-Mode Operation Minimizing Audible Noise
- Random Frequency Fluctuation for Low EMI
- Pulse-by-Pulse Current Limit: 0.52A
- Various Protection Functions:
- Overload Protection(OLP)
- Over-Voltage Protection (OVP)
- Abnormal Over-Current Protection (AOCP)
- Internal Thermal Shutdown (TSD) with Hysteresis
- Under-Voltage Lockout(UVLO) and Line Over-Voltage Protection(LOVP) with Hysteresis.
- Built-in Internal Startup and Soft-Start Circuit
- Fixed 1.6 s Restart Time for Safe Auto-Restart Mode of All Protections
- Output power(AC85〜460V) : 9W
このコントローラのスイッチング周波数は50[kHz]固定で、1次側の電流が0.52[A]で強制プロテクトがかかり、これが上限電流値となります。
また、さまざまなプロテクト機能も満載されており、安全に使うことができそうです。
フェライトコアの選定
今回はできるだけ小型化したいため、EPCコアを採用します。

EPCコアは、サイズ別に EPC10〜EPC30 があります。
サイズ選定は、さまざまな手法がありますが、ここでは、中間サイズのコアを見積もりして、過剰スペックの場合はサイズを下げていき、不足スペックの場合はサイズを上げていく手法を採用します。
それぞれのコアには巻線断面積が決まっており、エナメル線の直径が決まれば、巻数上限の制約があります。
エナメル線の直径は太いほどいいですが、巻数が減るため、1次側電流で支障のない範囲で細いものを選定します。
1次側電流は、1次側入力電圧と定格電力で以下のように決まります。
= 0.0424[A] = 42.4[mA]
概ね2倍程度マージンを取ると安全電流80[mA]のUEW2種エナメル線である0.2mm径となります。
0.2mm径の最大仕上がり径は0.231mmとなり、1本あたりの専有断面積は仕上がり径の方形のため、 = 0.05336[] となります。
全体の巻線数で1次側と2次側の配分は、原理上、電圧比で決めます。
1次側は入力電圧の最大値に電圧変動のマージン10%の下限で です。
電源コントローラ用電源がデータシート記載の14[V]、2次側の出力電圧12[V]となりますが、制御マージンを持たせるため、マージンを65%とすると となります。
そのため、1次側の巻線比率は、 となります。
コアで扱える電力がそのままコンバータで使えないため、コアのマージン80%、コンバータの効率80%ほどとみておくと、コアで扱える電力の概ね64%程度が6[W]を上回っていればいいわけです。
PC47EPC19コアの見積もり
まず、対象となるコアのボビンに通せる断面積を求めますが、BEPC19-1110CPHFR では、高さが図面の 6.0mm(F)-1.1mm(M)=4.9mm で幅が2.0mm(O1/O2)となり、巻線の断面積は、 となります。
理論上、0.2mm径を巻数上限値は、 = 183 となります。
1次側の巻線上限数は、 となります。
その場合、ギャップが0.3mmの場合、 が概ね0.54[A]となり、コントローラの0.52[A]に近くなります。

ギャップ0.3mmのときの値は以下のとおりです。
そのときのは以下のとおりです。
1次側のインダクタンス値は以下のとおりです。
1991000[nH] = 1.991[mH]


